卒業論文について語る中坊進二


「裏口入学」という言葉がありますよね。
その対義語というか、発展語というか、
不正手段で卒業することを「非常口脱出」と呼んだ先輩が居ました。
中坊進二、お腹を抱えて笑いこけました。



それはともかく、日本の大学は割と卒業がしやすいです。
本当はいけないことですが、
卒業論文の単位認定は教授の気分次第だと中坊進二は思っています。
既に内定が決まっていて卒業論文が不十分でも、
教授は「お前が留年して大学に残ると、(学費を払う)親御さんに迷惑になるし、
なによりお前が大学に残ると、(オレの)邪魔!!」
として追い出して(卒業させて)しまいました。
一応、卒業後に働きながら論文をまとめると約束させたそうですが、
卒業してから一切連絡がありませんでした。
なのに文化祭で研究室に顔を出す、豪胆な先輩でした。
もっとも、研究内容自体は全く大したことが無いので、
論文をまとめられても教授としては困るかもしれません。



中坊進二は理系の大学なので、約1年半かけて実験を行い、
研究論文をまとめました。
ただし、色々と欠陥だらけなので
「○○をしたら失敗するよ」という内容になりました。
しかし、研究論文においては
失敗データも重要だと中坊進二も教授も考えています。
企業としては成功だけを欲しがりますが、
失敗データを公表すれば次同じ研究する方が、
二の轍を踏まずに済むというものです。
むしろ、中坊進二が実験を開始した時に、
そうしたデータが欲しかったところです。
新しい分野で卒業論文を書こうとしたせいで、
前例となる研究が全くと言っていいほど無かったのです。
なお、研究をはじめて半年が経過した時に、
フランスで似たような研究が発表されました。
もっと早くそのデータが欲しいと、
その当時の中坊進二はかなり悔しがりましたよ。



卒業論文のテーマですが、
自分が所属している研究室のテーマに沿ったものを行うのが一般的です。
むしろそうしないと、アドバイスをする教授が困ってしまいます。
なのに、先輩の中には全く関係ない分野の研究をしていて、
教授を困らせていました。
あまりに専門外すぎて、
教授はパワポの発表の仕方くらいしかアドバイス出来ませんでした。
中坊進二も発表を見ていてポカーン状態でした。
時間があれば、研究を1からやり直させるのが普通ですが、
その研究を教授に最初に見せたのが、
論文発表会の締め切り1ヶ月前という
完全にやり直しの効かない時期だったので、
「もうそれでいい」と教授は諦めてしまいました。
一応、他大の教授のアドバイスを受けて作成したものですが
「じゃあお前、なんでうちの大学にいるのっ!!」と、
中坊進二を含みその研究を見ていた学生全員が思ったことでしょう。